column
でたらめな奇祭
タローマンまつりに行ってきた!

「芸術は爆発だ!」

…まず『タローマン』とは何か??
1972年頃に放送された1話5分程の特撮テレビ番組です。
「突如この世界に現れた奇獣、するとそこにシュールレアリスム星からやって来た巨大ヒーロー、タローマンが現れた!
タローマンはでたらめな行動で奇獣と対決する…。」
一時期は再放送もされていましたが、フィルムが行方不明になりソフト化もされていないため、特撮ファンの間では長らく幻の特撮番組と言われていました。
最近になってフィルムが発見され、2022年7月19日からNHKEテレで現存する10本が放送されました。
再放送時代からの熱烈なタローマンファンであるミュージシャン・サカナクションの山口一郎氏がタローマンの思い出を語るコーナー『TAROMANと私』も流されました。

…と、いう『設定』の番組です。
深夜のEテレで始まった10分10話のこの番組、実は2022年7月23日から大阪を皮切りに開催された『展覧会 岡本太郎』のPR番組『TAROMAN-タローマン- 岡本太郎式特撮活劇』という番組です。
'70年代風に撮られてますがタローマンという特撮ヒーロー番組は存在しないし、もちろん山口一郎氏の熱〜い思い出話もハッタリです。
でたらめが過ぎる。
しかし、タローマンの一度観たら夢に出そうなビジュアルにその動きや行動はインパクトありすぎで、瞬く間にネットで「何だこれは?」と話題になり、調子に乗った?NHKは『展覧会 岡本太郎』の会場である大阪中之島美術館で『タローマンまつり』を開催します(8月20日・21日)。
入場無料で、タローマンで使われたスーツやセット、山口一郎氏のタローマンコレクションなどを展示、グッズも販売されました。
これがまたNHKの予想を上回る?多くの人が来場、調子こいたNHKは『タローマンまつり2号』の開催を決定(9月23日〜25日)。
…「同じことをくりかえすくらいなら死んでしまえ」、岡本太郎の言葉に反してないか?死んでもいいのか?

スタッフも死にたくなかっただろう、または「一度死んだ人間になった」のか、『まつり2号』ではタローマンの前番組『大権威ガ・ダーン』(『タローマン』第10話のアイキャッチでしれっと描かれていた謎のヒーロー)のスーツや、大型スクリーンで流しているタローマン本編とは別の新映像が追加されました。
さらに『まつり2号』2日目、予告なしに会場にタローマンが現れたとの情報が!!
スーツアクターはテレビと同じアクターさんだ。もう我慢できない、3日目のまつりに行くぞ〜!!
(前置きが長いな★)

実は『展覧会 岡本太郎』はタローマン関係なしに行きたかったので、別の日にゆっくり鑑賞しました。
平日でしたが人出も多く、ほとんどの作品の写真撮影がOKでした。
この日は大丸梅田店内の東急ハンズで開催されていた『特撮のDNA』(平成ガメラ三部作のスーツやプロップが間近で見れる!写真も撮れる!)とはしごしたので、太郎展の作品が『タローマン』に使われたプロップや、雑誌や玩具の箱絵の原画に見えたりなんかして…こんな芸術の見方は太郎に怒られるかな…。
この日はタローマンガチャのアクスタと缶バッジを買いました。

…脱線★
連休最終日で日曜日。開場時間1時間前に着いたら既に50人くらい並んでた。『展覧会 岡本太郎』のみの人も『まつり2号』も同じ列。10時より早めに開場、まつりは1階、そこでも列。タローマン大図鑑もらった。
客層は老若男女かなり幅広く、意外と十代辺りが少なかった。
中央奥に大きいスクリーンがあり『タローマン』本編が流されている。
そこで唐突に新たに発掘されたタローマンソーセージのCMや前番組『大権威ガ・ダーン』の最終回の一部が流され、その衝撃の展開に場内がざわつく。
(ガ・ダーンにも岡本太郎に関連する意味が含まれてるので調べてみてね♪)
タローマンとガ・ダーン共演した『あつまれヒーロー!藤映テレビまんがまつり』という映画もあるという新ネタも…フィルムが見つからないのか…観たいなあ…。
再放送時?に作られたらしいゲームソフトの動画も流されました。
おいおい次々と設定が増えてゆくぞ…。

Twitterで2日目の模様の動画を見てたら、スクリーン右側にやぐらが組んであり、そこにタローマンの人形が飾られていた。左側に出入口の扉。
スタッフがやぐらの上のタローマンを片づけると左側の扉からタローマンが出てきていた。

本編が一通り流されるといよいよタローマンの登場!
人々がわらわらとやぐら近くに集まり、スマホを構えてタローマン登場を待つ。
私もスマホを出して前方に向かう…。
「♪ばーくはつだ ばーくはつだ ばーくはつだ げいじゅつだー」
主題歌が流れるがタローマンは現れない…?
と、会場がどよめき、振り向くと背後にタローマンが!!!!
「昨日と同じパターンで登場すると思ってたやつは死んでしまえー!!!!」である。
しんだ。

生のタローマンはすごい。
タローマンのスーツアクターはパントマイムの岡村渉さんです。
くねくね予想不測な動き、時に荒ぶり時にただ佇む。ちょっとセクシー。
スレンダーなスタイルで体幹が良い。ハチャメチャだが指の先まで繊細な動き。指、綺麗。
タローマンがの動きをマネしたら(マネすんな)いい運動になりますよ。
いつもニチアサなどで観ているスーツアクターとはまた違った魅力がある。
タローマンがこの人でよかった。普段のパントマイムもちゃんと見てみたいなあ。
けどあのマスク、視界どうなってんだろ?つか、タローマン、読めない行動本編より増してないか?
5分ほどパフォーマンス、退場後また本編が流れる。
もう一度タローマンが見たいのでその間は周囲に飾ってあるスーツやセット、山口一郎氏のコレクションの展示を見たり写真を撮って過ごす。別モニターで『TAROMANと私』のロングバージョンも流されていた。どんだけ語ってんだ。

次のタローマンは長ネギを抱えて現れた。
やぐらに上がると飾ってる提灯に長ネギを差していく…その様子を見守る人々。白昼夢。
クスクスと笑いが起こる。ザ・令和の奇祭。なんだこれは。
(この長ネギも唐突な様で実は意味があるんですよ!)
会場の雰囲気はとても良い…。時たま主題歌を歌うお子様の声が聞こえる。

最後まで見ていたかったけど、二度目のパフォーマンスの後会場を後にしました。
NHKのアンケートをしてタローマン2号のメンコをもらった。
でたらめなまつりなのに実に心地のいい会場でした。
家に着いてあの後のパフォーマンスの動画を見る。毎回違うネタ。
イモ虫が蝶になり旅立つパントマイムはちょっと泣けた…。
会場にいた子供達は何気にパントマイムやコンテンポラリーダンスの鑑賞をしている。
初めて美術館に来たかもしれない。良い経験ですね。この辺りはとてもEテレらしい。

ふざけてるとお怒りな人もいると思う。そういう意見も少々目にしました。
私自身は、これまで太陽の塔ロボや太陽の塔が戦う漫画なんかも目にしてきたので(実は昔太陽の塔を敵ロボにしたアホな漫画を描いたことがある…)、全然抵抗感がなかったというのもあります。
岡本太郎の残した言葉やシュールレアリスムを砕いて(砕き過ぎ?)伝えることや、敷居が高いと思われて、足を運ぶ機会のない美術館に行くということ、芸術に触れるってそんな堅苦しいことじゃないんだよってもっと気軽に見ていいんだよ、ってのを感じました。
まあ、昔風の特撮パロディもよくできてたし楽しかったからこれはこれでいいんです!

くそ暑かった夏も終わり、大阪の展覧会も大盛況で幕を閉じ、『展覧会 岡本太郎』は東京開催へ。
(2013年には愛知でも開催予定。)
そして秋が訪れた頃、11月25日NHKの『大阪メロディー』という歌番組にタローマンがゲスト出演という情報が!ゴールデンタイムの生放送に出しちゃっていいの?
ミャクミャク様との共演やフリーダムすぎる行動がお茶の間に流れ、また大きな爪痕を残しました。

東京では『展覧会 岡本太郎』とは会場が別ですが『展覧会 タローマン』も開催され…
『太陽仮面サンタワー』????あんた誰ーっ??????

…TAROMANの世界はまだまだ終わらない…??????

〜おしまい〜


2022 tellme shigenaga